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レースレポート
ROUND8<SUZUKA CIRCUIT>
第8戦気温鈴鹿サーキット:5.807km
GT300 予選1 予選2 予選総合 決勝
CAR No. 62 順位 6 9 9 22
タイム 2'05.017 2'05.974 2'05.974 2'25.650
(35LAPS)
ドライバー 柴原 柴原
(スーパーラップ)
柴原
(スーパーラップ)
柴原
予選2005.11.5(土)天気晴れコースコース:ドライ

スーパーラップの罠

 スーパーGT2005年シリーズも、いよいよ最終戦を迎える。フィナーレの舞台となる鈴鹿サーキットは、公式予選を迎えるこの日 晴天に恵まれた。♯62 WILLCOM ADVAN VEMAC 350R(以下♯62)は、前戦でエース柴原を欠き、レースではアクシデントに泣いたものの、マシンの状態は依然上り調子が続いている。その柴原も復帰し、この最終戦に今季のすべてを賭けるにふさわしいコンディションで、鈴鹿に乗り込んだ。金曜日のフリー走行では、タイヤとコースのマッチングが今ひとつではあったもののマシンはまずまずの状態。チームは大掛かりな変更を加えずドライバーにこの日の勝負を託した。

 午前10時に開始された予選1回目。好コンディションのせいか開始直後から、ほとんどのマシンがコースイン。最終戦ということで、チャンピオン争いをしているマシンは特に精力的にアタックを始めた。開始から数分もすると現在ランキング2位の♯43ARTAガライヤが2'05.067をマーク、それまでのトップタイムを一気に2秒以上縮め、これがターゲットタイムとなる。しばらくこのタイムは塗り替えられなかったが、セッションも半ばを過ぎた頃、♯31吉兆宝山MR-Sが、2'04.334をマークしトップに立つと、VEMAC勢の♯27 direxiv320R、♯2 Privee Zurich320R が4秒台に入れ、上位は接戦となる。

 再び、♯62のステアリングを握る柴原はこの最終戦、予選アタック担当に復帰。しばらくライバルたちのタイムの動向を見ながら、路面状況を確認する。そして開始から10分を過ぎた頃、満を持してコースインし、アタックに入った。その最初のアタックで柴原は、2'05.017をマーク、この時点で4位に入るが、その後タイムを伸ばすことが出来ない。そして5ラップを走行した後、占有時間帯は終了となる。

 その後、GT500クラスの占有時間中クラッシュが発生したため、セッションは赤旗中断となり約15分遅れで、混走時間帯を迎える。現在ランキングトップの♯30 RECKLESS MR-Sは、この時点でスーパーラップ圏外。また逆転チャンピオンを獲るために、最終戦勝利が必要となる♯43 ARTA Garaiya、♯0 M-TEC NSXも現状のグリッドからもう一歩アップを果たしたいところ。再びコース上は熱いアタック合戦が展開される。

 ♯62はドライバーを植松にスイッチし、まず基準タイムをクリアすると一旦ピットイン。この時点で6位となり、万が一に備え柴原がマシンに乗り込み待機するものの、スーパーラップに照準を当てていた♯62は走行を控えた。そして順位の変動はなく、公式予選一回目が終了。公式予選1回目のトップは2'04.296までタイムを縮めた♯31となった。

 午後2時より開始される予選2回目、リアウイングに若干の変更を加えた♯62は、柴原がインストレーションチェックのみを行い、スーパーラップに備える。
そして迎えたスーパーラップ、♯62柴原の出走順は5番目となる。それまでのトップタイムは2番目に出走した♯13エンドレスZの2'05.534。グリッドを下げないために最低でもこのタイムを上回らなければならない。午前のセッションで、タイヤの温まりが早いと読んだ柴原は、アウトラップのスピードを余り上げずにアタックに入った。そしてセクター1で、コンマ3秒のリードを築いたことで、この作戦は成功したかに見えた。しかしセクター2では、逆にコンマ1秒落ちとなる。タイヤが思ったほど温まっていなかったのだ。それに気がついた柴原は渾身のアタックで挽回を図るが、タイヤの温度による影響は大きく、結局挽回はならず2'05.974と順位を3つ落とすこととなった。

 今季から採用されたスーパーラップ。最終戦を迎えて初めて♯62は、このシステムが持つ罠の餌食となった。前戦からいい流れが続き、さらにノーアクシデントで迎えた最後の公式予選。期待とは裏腹に9位という意外な結果となった。今季の戦いは明日のレースが最後、一年間支えてくれたファンのために、♯62は何がなんでもこの場所から、表彰台へと上っていかなければならない。

 なおこの最終戦のポールポジションは、予選1位でスーパーラップに臨んだ♯31がコースレコードとなる2'03.951のタイムで獲得した。

監督:本島伸次
澤田イメージ「前戦からの流れもいいはずだったし、もう少し上位を狙えると思っていたのですが残念な結果になってしまいました。うちも4秒台を出さなければいけなかったのですが、少しトップスピードが足りなかったようです。明日はいよいよ2005年最後になるレース、頑張って結果を出さなければなりません。きっちりと最後まで走リきって表彰台を狙います。」
ドライバー:柴原眞介
柴原イメージ 「今シーズン最後の予選ということで、チームからは『ポールを獲れ』と言われていました。自分でも出来る限りのことはしたつもりなのですが、力が今ひとつ及ばなかったようです。自分ではワンアタックを得意にしていたつもりだったので、スーパーラップで順位を落としたのはすごくショックでした。本当に悔しいです。明日は、2005年最後のレースになります。悔いのない戦いをしたいですね。」
ドライバー:植松忠雄
植松イメージ「今回は柴原さんも戻ってきてくれたし、オートポリスの流れで行くと『すごく速い』という読みだったんですが…。読みが外れるのがレースなんでしょうね。今回は初めて、木曜日に走行を行わなくて金曜日の一発のみとなったのですが、セッティングを詰めきれなかったですね。明日は最終戦ということで、どのチームも目いっぱい気合を入れてくるでしょう。うちもそれに負けないようにしたいですね。最後はチームみんなで抱き合えるような結果を出したいと思います。」
決勝2005.11.6(日)天気コースコース:ウェット|39 Laps (226.473km)

激しい雨に波乱の最終戦、有終の美は飾れず

 2005年最終戦のレースを迎えた鈴鹿サーキット。当初の予報通り、朝から厚い雲に空は覆われた。今シーズンここまでずっと、苦しい戦いを強いられてきた♯62WILLCOM ADVAN VEMAC 350R(以下♯62)は、シーズン最後のレースを9番グリッドからスタートする。悔いのない戦いをするのはもちろん、ファンの気持ちに応える為にも、なんとしても有終の美がほしい。そんな思いを背負ってチームは、雨のレースの準備を急いだ。

 8時20分から始まるフリー走行、まだ雨は降り出さない。全車スリックでのセッションとなる。中盤にさしかかったころ、雨はようやく降り始めるが、路面はウェットに至らずセッションは終了。♯62は昨日の予選、トップスピードが伸びなかったことで、ダウンフォースを減らすためセッティングを変更しここで確認を行ったが、ややアンダーステアが発生するなど少し不安を残した。そして午後のレースは確実にウェットコンディション。セッションが終了すると、レインセッティングに切り替えるため、メカニックたちは慌しく作業に入る。

 午後を迎え、雨は激しさを増した。そのためウォームアップ走行の時間を延長し、予定より10分遅れのスケジュール変更となる。この悪いコンディションが吉と出るか凶と出るか、♯62にとって決して願った展開ではないが、どんな状況であろうと最後の戦いで悔いは残せない。スタートを務める植松はこの一年のすべてを賭け、ステアリングに力を込める。そしてフォーメーションラップの時を待った。

 しかしレース開始時間になっても雨脚は衰えない。この状況に主催者は、さらにスケジュールを遅らせることに。そして新たなスケジュールの決定に時間を要し、そこから約30分後ようやく出た決定は、予定より53分後れのスタート。さらにレースは25%減算となり、39周で争われるというもの。そして安全のためセーフティーカーランスタートとした。

 この間植松が考えていたことは一つ、「路面が冷えたこの状況でどうすれば、タイヤをうまく暖めることが出来るか」。今日のレース、♯62にとってはこのことが最も重要なテーマだった。逆にこのことさえうまく運べば、結果は出ると植松は信じていた。

 セーフティカーランは3周。この間植松は、とにかく右に左にステアリングを切りつづける。4周目にレースは始まった。そのオープニングラップのことだった。植松は1コーナーと2コーナーの間に出来た水溜りに乗り、スピンを喫する。開始早々のこの出来事は当然、大きく順位に影響する。しかしこの混乱の中、他車と接触がなかったのは不幸中の幸いだ。植松にしてみれば、コース上でまだ挽回が充分可能なのだから。そしてそこから猛プッシュを始めた植松は、周回を重ねるごとに、1台、また1台とオーバーテークを成功させる。しかし、やはりタイヤの温まりは、いまひとつ。濡れた個所に乗ると、どうしても冷えてしまうのだ。上位のラップペースとはまだ開きがあった。
350Rとレインタイヤが、うまくマッチングするセッティングを見つけられなかったことは事実だ。しかし、今となればやるべきことはただひとつ。一年間のすべてをこの走りにかけること。植松は決心した。

 この激しい雨に、スピン続出のレース。17周目コース上にストップした車が出たため、再びセーフティーカーが入る。これを見てすぐにピットインした♯62はタイヤを交換しないで、給油とドライバーチェンジのみを行った。周回数が減算になったことと、タイヤの温まりが悪いことでの判断である。そしてドライバーチェンジにやや時間を要するが、無事柴原へと今季最後のバトンは渡った。

 バトンを受けた柴原もまた、この状況下今季最後のレースということで、悔いを残さない走りを精一杯披露。しかし、その思いとは裏腹に、アクシデントが柴原を襲う。20周目のS字コーナーだった。後ろから、GT500クラスチャンピオン争いの渦中にある、♯8 ARTA NSXが迫る。この雨の波乱で苦戦を強いられる♯8は♯62をパスする際、あせりのせいか追突をしてしまう。このため♯62はスピン、深いグラベルにはまり、マーシャルの手を借りなければコース復帰できない状態に陥った。♯62の最終戦はここで終わったかに見えた。このことでさらに落とした順位を上げるための周回は、もう10数周しか残されていないのだ。しかし、それでも柴原は再び攻め始める。決して手を抜くことなく最後まで攻め続ける。そしてこの短い周回でやるべきことはすべて、やりつくした柴原だったがこの最終戦、♯62の残したリザルトは22位となった。

 シーズン前の目標であった表彰台への道は、ここ数年飛躍的にレベルアップを果たすGT300クラスの中、♯62にとって結果的に険しい道となった。この一年チームは精一杯戦い、回を重ねるごとにチーム力を上げたが、最後のこの日まで表彰台に達することは出来なかった。チームが初めて経験するといってもいいこの屈辱。しかしそれが大きければ大きいほどこの先、チームをよりレベルアップさせる。栄冠は来年へ持ち越しとなったが、その手ごたえは掴んだ。チームは来季の戦いを始めるべく、雨の上がった鈴鹿を後にした。

 なお、この最終戦の勝利を手にしたのは♯11JIM GAINERフェラーリ。そしてGT300クラスのシリーズチャンピオンは、開始直後にピットインを行う作戦を見事に成功させ、予選14位から3位まで順位を上げたランキングトップの♯30 RECKLESS MR-Sが獲得した。

監督:本島伸次
澤田イメージ「今シーズンを振り返ると、すべてが悪い方向へ行った一年間でした。しかしこれは単に運だけのせいではなく、やはり全てにおいてチーム力が足りないということなのでしょう。来年は、体制をもう一度見直して、チャンピオン目指して頑張ります。スポンサーの方々、応援して下さった皆様方、一年間本当にありがとうございました。」
ドライバー:柴原眞介
柴原イメージ 「WILLCOMさんという大きなスポンサーに応援していただけることになり、ドライバーもチームも希望に満ちたシーズンだったのですが、結果は自分のドライバー人生で最悪のシーズンとなってしまい残念です。ただその中で、ドライビングや車両の開発など技術的な勉強をたくさんすることが出来たので、来年につながるものは大きいと思います。来シーズンはWILLCOMさんを表彰台の一番高い場所に必ず乗せます!見ていてください。」
ドライバー:植松忠雄
植松イメージ「このチームは、スタッフみんながプライドを持ってしっかりした仕事をしている素晴らしいチーム。悔しい思いもたくさんしましたけど、一年間大変充実したシーズンを過ごすことが出来ました。最終戦ということで、悔いのないレースをしたかったのですが、やはり心のこりが出来てしまいました。ファンの皆さんには申し訳ないと思っています。この思いを来年の糧にしたいと思います。」